「フーリエ変換」とは、物事を「波」の重ね合わせとして考えることです。 一言で言うとこうなのですが、これだけではわかりにくいので少し下で例を 挙げます。

例えば下のような波があったとします

この波は下のような2つの波を重ねあわせると作ることができます。

これは簡単な例ですが、 「波」の形をしていない図形でも、上と同様に様々な「波」を足し合わせることでつくることができます。 このように、様々な形を波の足し合わせとして捉えることを「フーリエ変換」というのです。

今回はこのフーリエ変換の応用をアナログ、デジタルの二つの面から捕らえます。フーリエ変換にはさまざまな 応用がありますが、今回は「画像」の分野への応用を取り上げます。

1.ホログラム

ホログラムとは、簡単に言えば3次元像を記録した写真のことです。 ふつうの写真は2次元情報しかなく、真正面から撮った車の写真は、右から見ても左から覗いてみても 側面の情報は得られません。 ホログラムは右から見れば右側面の車の像がみられます。 左から見れば左側面の車の像がみられます。上から見ても同様です。 つまり立体的に見えるのです。この写真を撮影するにはフィルムに光の干渉縞をつくる必要があるのですが、 干渉縞をつくるのに今回は二つの方法を試しました。

一つは光学系の装置を使ってレーザーでフィルム上に干渉模様をつくりました。 二つ目は干渉模様をプログラムを使って計算し、それをプリンタでフィルムに出力する予定です。

どちらもフィルムにレーザーを当てて像を再現します。 写真は光学系の装置を使って撮影したホログラムです。暗闇で撮ったのでぼんやりとしか映っていませんが 実物はもっとはっきり見えますし、立体感を感じることもできます。

被写体の写真

再生像

2.画像処理プログラム

画像というのは本来輝度が連続的(アナログ)に分布しているものですが、 コンピュータで扱うには各画素の輝度を整数で表す必要があります。 つまり輝度に対応した離散的な値(デジタル)を各画素ごとに割り振らなくてはなりません。 元は連続であった値を離散化させるのですから情報量を落とすことになります。 この離散的な値の情報量をパソコンが高速で処理できるくらいのものにするためにフーリエ変換が 使われています。

画像情報をデジタル化したことで簡単に画像に様々なエフェクトをかけられるようになります。 たとえば輪郭のみを強調させたり、色鉛筆で描いたような効果を加えたり、など本当に色々なことができます。 画像処理ソフトのフィルタを使う方にはなじみの深いものかもしれませんね。

五月祭で展示する予定のプログラムは画像をアスキーアート(文字・記号によって描かれた絵)に一発変換 してくれるというものです。お客様の顔写真などを写メールで送って頂きますと、それをアスキーアートに変換して また携帯に戻すというサービスを考えております!

東京大学工学部 物理工学科 計数工学科 有志

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